丸田 雄Yu Maruta

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  • 陶歴・プロフィール
  • 黒牟田焼の名窯・丸田家の三代目にあたり、唐津焼の伝統と革新を併せ持つ注目の作家です。
    益子焼作家・明石庄作氏に師事し、基礎から土と火の仕事を学ばれたのち、400年以上の歴史を持つ黒牟田焼の窯元、祖父・丸田正美氏の工房を継承。現在は、父である唐津焼の重鎮・丸田宗彦先生の作品世界にも深く親しみながら、独自の表現を模索し続けています。

    陶芸一家に生まれ、異なる系譜の作家から技術・感性を吸収したことで、丸田雄先生の作品には、「継承」と「革新」が共存しています。
    唐津の伝統を踏まえながらも、時に型にとらわれず、ぐい呑の口縁を徳利のように広げてみせるなど、遊び心に富んだ大胆な造形も特徴です。

    唐津焼に“赤”を灯す挑戦

    唐津焼といえば、鉄分を含む土と灰釉・藁灰釉の組み合わせによる、落ち着いた渋みのある色合いが代表的です。偶発的に焼成中に現れる赤みや青みが美しい景色をつくり出すことはありましたが、それはあくまで「窯変(ようへん)」による副産物であり、意図的に赤を主役に据えることは、長年困難とされてきました。

    丸田雄先生は、その「常識」に挑みました。土の配合、釉薬の調整、焼成の温度と炎のまわり方を徹底的に研究し、ついに、意図的に赤みを帯びた作品群を安定して生み出すことに成功。
    これが、現代唐津の中で極めて稀少な試みとして注目を集めている“唐津 赤”です。

    遊び心と造形の妙 

    丸田雄先生の作品は、伝統を尊重しながらも、造形の自由さが魅力のひとつです。

    たとえば、「唐津ぐい呑」や「皮鯨ぐい呑」といった作品は、古唐津の姿を写しながらも、飲み口の形状やボディのフォルムに変化を加えるなど、あくまで“自分の目で見た美しさ”を信じてつくりあげた形が印象的です。

    唐津の釉薬である藁灰釉や黒釉を用いながらも、そこに独自のニュアンスを加えた釉調も多く、父・宗彦先生の作品に通じる力強さと、雄先生自身の繊細な感性が調和しています。

    料理人にも支持される味のある器

    近年では、他県から訪れる料理人の方々が、朝早くから店舗に訪れ、丸田雄先生の作品を求める姿も増えています。
    特に盛り皿や小鉢などの器は、料理を引き立てる力があり、実用性の高さと焼き物としての味わいのバランスに優れています。

    三兄弟展への道のり

    当店一番館では、長年にわたって丸田宗彦先生の作品を取り扱ってまいりました。そのご縁で、実家におられた頃の丸田雄先生とも顔を合わせる機会がありました。

    初めて作品を正式に取り扱ったのは「丸田兄弟展」。その後、念願であった丸田親子三人展が実現し、2024年には第二回を開催。
    展示会では、ご家族それぞれの個性が際立ち、特に雄先生の作品には「若さと研鑽を重ねた深み」が感じられるとの声も多く寄せられています。

  • 【プロフィール】
    生年 1989年
    窯元 黒牟田錆谷窯

    【陶歴】
    1989 丸田宗彦の次男として生まれる
    2008 大阪芸術大学に入学
    2011 益子にて明石庄作氏に師事
    2015 父 丸田宗彦に師事
    2019 独立 黒牟田錆谷窯 開窯