丸田 宗一廊Soichiro Maruta

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  • 唐津焼の名門・内田皿山窯にて、父・丸田宗彦先生と共に作陶を続ける丸田宗一廊先生。父や祖父とは異なるアプローチで磁器の表現を追求し、独自の作風を確立しつつあります。ここでは、丸田宗一廊先生の人物像や作品へのこだわり、焼き物としての魅力をご紹介します。

    名門・丸田家の三代にわたる系譜

    丸田宗一廊先生は、唐津焼を代表する作家・丸田宗彦先生のご長男として生まれました。現在は内田皿山窯にて、日々お父様の作陶を手伝いながら、ご自身の作品制作にも取り組まれています。

    祖父にあたる丸田正美先生は、「黒牟田焼」を通して民芸運動の思想を体現した作家であり、「用の美」の追求者でした。つまり、宗一廊先生は、民芸・唐津・現代という三つの文脈を受け継ぎながら、自身の美意識で焼き物に向き合っておられます。

    自ら掘り、砕き、精製する“唐津白磁”

    宗一廊先生が現在メインで取り組まれているのは、磁器作品です。唐津焼といえば、素朴で力強い土ものが主流ですが、宗一廊先生はあえて磁器に挑戦し、唐津の風土と融合させた新たな表現を模索されています。

    その中でも、「唐津白磁」と呼ばれる柔らかな白磁作品は特に注目されます。白磁といえば通常、透明感のある硬質な印象を持ちますが、宗一廊先生の白磁は、薪窯で焼かれることで発色に揺らぎが生まれ、染付の呉須のにじみや絵付けの筆致が柔らかく浮かび上がります。

    この表現は、古い初期伊万里や李朝の磁器を思わせる味わい深さを持ち、現代の磁器には珍しい温かさと奥行きが感じられます。

    宗一廊先生の磁器作品の最大の特長は、素材作りから自ら行っているという点にあります。多くの磁器作家が熊本県の天草陶石を使用する中で、宗一廊先生は自ら山に入り、磁器の原料となる陶石を採掘。その石を砕き、手作業で精製して土に仕立てています。

    これは現代の陶芸界でも非常に稀なことで、素材への深いこだわりと、ものづくりの原点から美を追求する姿勢が現れています。

    丁寧な手仕事と薪窯焼成

    宗一廊先生の作品はすべて手描きの染付で仕上げられています。市販されている染付の磁器の多くは、印刷による工業製品であるのに対し、宗一廊先生の作品は、一点一点絵筆で描かれたものであり、薪窯で焼かれています。

    薪窯は、火の当たり方や温度によって焼き上がりが一つひとつ異なるため、焼成にも非常に高い技術と経験が求められます。その不確かさを逆に魅力へと昇華させるのが、宗一廊先生の作品の大きな特徴です。

    宗一廊先生は、美術大学を卒業後、国内有数の人気陶芸家である内田鋼一先生のもとで修業されました。自由な発想と現代的な美意識を取り入れた内田先生の影響を受けながら、宗一廊先生は伝統と現代の融合を図る作風を築き上げておられます。

    現在とこれから

    宗一廊先生は現在、父・丸田宗彦先生のアシスタントとして作陶の大半を支えつつ、ご自身の作品も精力的に制作されています。弟・丸田雄さんもまた独自の作風で作陶を行っており、当店では親子三人展なども開催しています。

    今後、独立して自身の活動を本格化されるにつれ、作風の進化がますます期待される作家です。

  • 【プロフィール】
    生年 1986年
    窯元 内田皿山窯
    趣味 釣り

    【陶歴】
    1986 丸田宗彦の長男として生まれる
    2005 内田鋼一に師事
    2009 内田皿屋窯に戻り父を手伝いながら作陶を始める