十四代今泉今右衛門Imaizumi Imaemon XIV

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  • 陶歴・プロフィール
  • 十四代 今泉今右衛門は、有田焼の中でも特に高度な技術を要する「色鍋島」の伝統を受け継ぎ、現代陶芸の第一線で活躍を続ける陶芸家です。
    日本工芸会において要職を務めるなど、伝統工芸の分野を代表する存在の一人として知られています。

    その作品は、日本国内のみならず海外からも高い関心を集めており、現代の有田焼、そして日本陶芸を語るうえで欠かすことのできない作家として評価されています。

    色鍋島と有田焼の歴史を担ってきた今泉今右衛門家

    今泉家は、江戸時代より鍋島藩の御用窯において、色鍋島の「絵付」を担ってきた家系です。
    鍋島焼は、将軍家への献上品として制作された日本陶磁史の中でも特に格式の高い焼き物であり、その中でも色鍋島は、厳格な文様構成と高度な技術力を求められてきました。

    明治維新以降、藩の庇護が失われたことで、今泉家もまた絵付に加え、成形や焼成までを一貫して行う制作体制へと移行します。
    こうした歴史的背景のもとで培われた技術と美意識が、現在の十四代 今泉今右衛門の作品の基盤となっています。

    有田焼作家・今泉今右衛門の異色の経歴と制作背景

    十四代 今泉今右衛門は、武蔵野美術大学を卒業後、すぐに家業である陶芸の道に入ったわけではありません。
    インテリアやデザイン分野に関わる企業に勤務し、空間や造形を広い視点で捉える経験を積みました。

    この時期に培われた、器単体ではなく「空間の中でどう見えるか」という感覚は、のちの作陶にも少なからず影響を与えていると考えられます。
    伝統工芸の家に生まれながら、一度外の世界に身を置いた経験が、色鍋島という完成度の高い表現と現代感覚をつなぐ素地となりました。

    色鍋島の技術継承と今泉今右衛門の表現の特徴

    十四代 今泉今右衛門の作品は、色鍋島の厳格な文様構成や色使いを基盤としながら、独自の技法を積極的に取り入れている点に特徴があります。

    白金彩、墨はじき、吹墨(薄墨)といった技法は、過去の技術を参照しつつも、現代の感覚で再構成された表現です。
    とりわけ墨はじきによる表現は、文様に独特の余白やリズムを生み出し、従来の色鍋島には見られなかった静かな空気感を作品にもたらしています。

    単に伝統を守るのではなく、技術を深く理解したうえで更新していく姿勢が、十四代 今泉今右衛門の作家性を際立たせています。

    現代有田焼を代表する今泉今右衛門の構成力と評価

    展覧会では、大皿や壺などスケールの大きな作品を数多く発表しており、その構成力と創造性は高く評価されています。
    色鍋島という繊細な表現でありながら、画面全体を支配する力強さを備えている点は、長年の研鑽と確かな技術力の裏付けといえるでしょう。

    作品価格についても、現存する陶芸家の中では高い評価を受ける水準にあり、有田焼や日本工芸品が持つ価値の可能性を示す存在として注目されています。

    人柄と交流が支える現代陶芸の広がり

    十四代 今泉今右衛門は、同世代の作家や後進、他分野の表現者との交流にも積極的で、展覧会や作家の発表の場にも足を運ぶ姿勢で知られています。
    伝統工芸の世界に身を置きながらも、柔らかく親しみやすい人柄は、多くの関係者から信頼を集めています。

    こうした開かれた姿勢が、現代における有田焼や日本陶芸の広がりにもつながっているといえるでしょう。

    ギャラリー一番館と今泉今右衛門

    ギャラリー一番館では、1976年の開店以来、今泉家と長年にわたる関係を築いてきました。
    十三代 今右衛門の代から作品を取り扱い、世代を超えてその歩みを見つめ続けてきたことは、一番館にとって大きな財産です。

    単なる取引先としてではなく、作品と真摯に向き合い、その価値を丁寧に伝えてきた関係性があるからこそ、現在も継続して紹介できる作家の一人といえます。

     

    十四代 今泉今右衛門は、色鍋島という完成度の高い伝統を背負いながらも、そこに安住することなく表現の更新を続けています。
    日本の有田焼、そして日本工芸がこれからどのように世界と向き合っていくのか、その可能性を示す存在として、今後も注目される陶芸家です。

  • 【プロフィール】
    生年 1962年
    趣味 囲碁、嗜酒
    師匠 鈴木 治(京都)、父・十三代 今泉今右衛門

    【陶歴】
    1962 佐賀県有田町に生まれる
    1985 武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科(金工専攻)卒業
       福岡の(株)ニック入社
    1988 京都・鈴木治先生に師事
    1990 有田・父、十三代今泉今右衛門のもと、家業に従事
    1995 九州陶芸八人の会展 出品
    1996 日本伝統工芸展 入選(以降複数回)
       佐賀県美術展 知事賞受賞
       一水会陶芸部展 一水会賞受賞(1996・1998)
    1997 韓日現代陶芸交流展 出品(韓国・昌原市)
       出石磁器トリエンナーレ 入選・佳作受賞
       日本陶芸展 入選(~2019)
       西部工芸展 鹿児島放送局賞受賞
    1998 日本伝統工芸展 日本工芸会会長賞受賞・正会員に推挙
       佐賀銀行文化財団 新人賞受賞
       佐賀新聞文化賞 奨励賞受賞
    2001 クレイワークス二人展 出品
    2002 十四代 今泉今右衛門を襲名
       色鍋島今右衛門技術保存会 会長就任
       今右衛門古陶磁美術館 館長に就任
       一水会陶芸部展 会員優賞受賞
    2003 現代陶芸の華(茨城県陶芸美術館)招待出品
    2004 日本伝統工芸展 東京都知事賞受賞
    2007 日本伝統工芸展 鑑査委員に推挙
    2008 西日本陶芸美術展 優秀賞受賞
       第16回 MOA岡田茂吉賞 工芸部門 優秀賞受賞
       第二回 智美術館大賞 現代の茶陶 招待出品
    2009 紫綬褒章 受章
    2010 第一回 金沢・世界工芸トリエンナーレ 招待出品
       日本工芸会 理事に推挙
    2011 日伊芸術交流祭 ラ・ルーチェ展 招待出品(イタリア)
    2012 日本工芸会 西部支部 幹事長に推挙
       日本陶磁協会賞 受賞
    2014 有田陶芸協会 会長に就任
       重要無形文化財「色絵磁器」保持者(人間国宝)に認定
    2017 フランス・バカラ社との共同制作「Baccarat meets IMAEMON」発表
       「今右衛門の色鍋島」展(朝日新聞等主催)開催
       奈良・薬師寺 食堂落慶に際し三具足を奉納
    2018 佐賀県陶芸協会 会長に推挙
    2020 日本工芸会 副理事長に推挙
    2022 ホモ・ファーベル展2022 招待出品(イタリア・ベネチア)
       バカラ社との共同制作「第2回 Baccarat meets IMAEMON」発表
    2023 日本陶磁協会賞 金賞受賞