内村慎太郎Shintaro Uchimura
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ギャラリー一番館
からのご紹介 - 陶歴・プロフィール
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陶芸すなわち歴史のデッサンと語る内村慎太郎氏の作品は、幾度と研究を重ねた李氏朝鮮時代や古唐津の写しの作陶を中心とする陶芸家です。
陶芸の名手たちとの出会い
2010年、武将茶人である古田織部が主人公の『へうげもの』という漫画のコラボ展として「HAKATTANA へうげもの九州急襲」という展覧会が行われました。"へうげもの"とは"ひょうげもの"と読み、ひょうげる則ちおどけることをさし、端正に作ることが技術的には難しかった時代に、当時の美意識でむしろ形を崩した器に、ところどころ詫び寂びを感じ作られていました。
そのグループ展からは、九州勢から、竹花正弘 、矢野直人、山本亮平、安永頼正、村山健太郎などという錚々たる陶芸家が十数名参加。その中に内村慎太郎先生も含まれていました。
一番館店主・坂本は、この展覧会で氏の作品に初めて出会い、その魅力に惹かれました。歴史の写し
氏は、李氏朝鮮時代の写しや、唐津焼の写しを積極的に作陶されています。日本で作られた手本をもとに朝鮮で焼かれた御本茶碗や、玄悦という船橋玄悦が朝鮮で御本を写したことに由来した器もあり、普段作られないような種類のものも歴史を学びながら作られていることがわかります。唐津焼や古唐津の写しと、高麗茶碗の写しを両方やる作家という意味では非常に稀な作家であり、非常に様々な種類のお茶碗やぐい呑みを器用に作陶する多彩な作家です。
陶芸への情熱と技術
2024年「内村慎太郎 新作展」で並んだ柿乃蔕茶盌。写しの作品を再現するには、色、絵、釉薬、焼きの温度など、すべてが合致しなければなりません。特に、400年前の朝鮮で焼かれた柿乃蔕の形を忠実に再現するには、非常に高度な技術が必要です。土の質感も同様で、何種類もの焼成テストを繰り返し行い、本来の柿乃蔕の雰囲気を再現するために多くの研究がされています。
陶芸教室をきっかけにして陶芸家となった氏は、元々は高専を出て橋の設計の仕事をされていました。陶芸教室で焼き物に興味を持ち、自ら陶芸家や唐津や李朝の古典に習いながら、師事されないまま独学でこの技術を磨き上げました。朝鮮の伝統的な焼き物を忠実に再現しつつ、独自の創造性も発揮するその技術と品質は高く評価されています。 -
【プロフィール】
生年 1975年
窯元 山居窯
【陶歴】
1975 鹿児島県霧島山麓栗野町(現湧水町)にて生まれる
1995 国立鹿児島工業高等専門学校卒業後、橋梁設計の仕事をはじめるが、古陶に心惹かれやきものの道へ入る
2002 唐津焼工房・雷山房として独立
2008 工房を移し、山居窯開窯