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唐津やきもん ~食と器の縁結び

坂本直樹のブログ

2009-05-09

藤沢秀行先生逝く

昨日の夕刊で、訃報を知りました。囲碁界の巨人、藤沢秀行名誉棋聖が、昨日の朝83歳で亡くなりました。

囲碁をやっている人なら誰でも知っているビッグネームのプロ棋士ですが、私の中でも一番尊敬していた棋士で、大変ショックです。棋風も生きざまも、豪放磊落というか、破天荒というか、とにかく豪快な先生でした。碁の打ち方は、天才的なひらめきの着手なども多く、異常感覚などとも言われましたが、重厚な手が好きで、本当の正統派だったと思います。

こうして携帯で書いていても、涙が出そうです。

先生は、私が高校生の頃が、ちょうど棋聖位を6連覇されている時で絶頂期でした。その頃一度唐津にみえられて、知り合いになることができました。
その後、私が大学の全国大会に九州代表で出場した時に、会場に自著を携えて訪ねて来ていただき、他の代表選手たちがびっくりしていて、ちょっと自慢だった事などが思い出されます。

若い頃は、秀行先生のように豪快な生き方をしたいなどと憧れましたが、キャラクターが違うので私などは全然無理でしたね。

豪放磊落という意味では、タイプは少し違いますが、中里隆先生もそうですね。変な話ですが、私は高校生くらいの頃、中里隆先生と藤沢秀行先生とジャズミュージシャンのソニー・ロリンズに影響を受けました。なんとなく三人には相通じるものを感じました。
隆先生とロリンズさんには、秀行先生の分も長生きして欲しいですね。

ちなみに、ソニー・ロリンズは音楽から感じるだけで、特別知り合いではありませんが。念のため。

秀行先生は亡くなりましたが、膨大な棋譜は残りますし、私の中にも、日本中いや世界中の囲碁ファンの心の中にも、永遠に生き続ける棋士だと思います。
現在、日本を脅かしている中国や韓国のトップ棋士の中にも、秀行先生の弟子がたくさんいます。もちろん、日本のプロ棋士のほとんどは先生の薫陶を受けているはずです。

本当に囲碁界にとっては大変な損失ですが、今は安らかに眠られて、天国から囲碁界の発展を応援して欲しいものだと思います。こころからご冥福をお祈りいたします。
合掌

2009-05-09

藤沢秀行先生の棋風

秀行と書いて、みなさんシュウコウと呼ぶので、秀行先生は、通称シュウコウ先生で通ってました。

前回、その秀行先生の碁の打ち方は、重厚な手が好き、と書いたのですが、
その「重厚」という意味を、碁を打たれない方の為に少し説明したいと思います。
まず、それぞれの棋士の碁の打ち方や好みのことを棋風と言いますが、考え方や性格などによって大きく二つのタイプに分かれます。
ひとつはいわゆる陣地の大きさを重視する実利派。
あと一つは、目の前の実利よりも、厚みというものを大切にする厚味派です。

囲碁というのは陣取りゲームなので、最終的に陣地が多いほうが勝ちになります。そうすると陣地を稼ぎまくったほうが良さそうなのですが、それが一概にそうとも言い切れない部分があって、あまり実利ばかりを追い求めると、自分の石に弱い部分ができて、それが攻められたりして、終盤になって逆転される場合があります。

逆に、厚みというのは、手堅く自分の陣営を固めながら後で陣地を増やすのに役にたつように打つやり方で、終盤に追い上げる効果があります。しかし、あまりその厚みにこだわると、終盤の追い上げが間に合わなくなる場合などがあって負けになります。そうなると、そのバランスが難しいわけです。

そんな意味で、秀行先生の碁というのは、基本的には厚味派なんだけど、しっかり陣地も確保しながら守りも手薄になっていないという絶妙な着手が多く、序盤の感覚も終盤のヨミもどちらも優れた、たいへんバランスがいい棋風でした。

これを日常生活に置き換えるとどうでしょう。実利というのはイコールお金、現ナマということになります。お金は大事ですが、あまりにお金儲けだけに走っている人というのはいかがでしょうか?何か、お金とは違う大切な何かが欠如しているように思えませんか?
一方の厚味というものを信用と思えばいかがでしょうか。今すぐにお金儲けができなくても、信用が厚い人というのは幸せそうにみえるし、最終的に豊かになるのではないでしょうか。

秀行先生の碁を勉強していると、いつも厚みの大切さというのを感じるのですが、実生活になると煩悩のかたまりのような私などは、いつも目先の欲に駆られて、手厚い人生が送れていないような気がします。

先生の死を契機に、もう一度、厚味のある言動、重厚な人生を目指さねばと思ったのでした。